オーナーさんとの出会い
始まり
オーナーさんと初めてお会いした時は、漠然と「ビアバーをやりたい」という思いを持っていらっしゃいました。そこから、一緒にお店のブランディング作業に取り組み、「極上の樽生ビール」に拘ったビール専門店「Beer Switch」が誕生しました。オープン10日で目標月商を達成し、今では地元の大人気店へと成長しています。当初はまだ物件も決まっていなかったため、物件選びからご協力させて頂きました。
ブランディング作業を通して
ブランディングは、週に1度2時間程、3ヶ月間かけて行いました。内容は、オーナーさんの思いや考え、お店としての強みや弱みを洗い出し、市場調査をし、ペルソナ(理想の顧客像)を設定します。この作業から見えてくることはたくさんありますが、大きく分けると3つ。お店のコンセプト、理想の顧客像、ビジネスビジョンです。それぞれについて、もう少し詳しくお話させて頂きます。
ブランディング作業で見えてきたこと
コンセプト: “極上の樽生ビール”
ブランディング作業を通して再確認したことの1つは、オーナーさんのビールへの愛。最初は漠然とビアバーをやりたいと言っていたオーナーさんですが、日本の大手4社のビールを全て提供している店はないということや、地方でしか手に入らないようなクラフトビールがあれば、お客さんは嬉しいのではないか…など、ビール好きにはたまらないお店を作るアイディアがふつふつとわいてきました。そして、常時大手4社を含んだ10タップ用意し、「極上の樽生ビール」に拘ったお店を作ることに決まりました。全ては「極上」であること。
オープン後のブレない軸(コンセプトについて)
この時のブランディング作業は、現在お店を運営していく上でも、意思決定の軸となっているそうです。お客様から「ワインは置かないの?」や「生ハムを置いて欲しい」など様々なお声を頂きます。更に、実はビールメーカーを一社に絞ればサービスが沢山あります。しかし、大切なのは「極上の樽生」をご提供すること。生ハムの油が付着してしまうとビールの質を下げる可能性があり、店の利益のみを優先すれば、どこにでもあるバーと同じになってしまう。コンセプトがなければ色々な方向にブレてしまっていただろうとオーナーさんは言います。
理想の顧客像(ペルソナ):大手製造会社で働く35歳男性、課長になりたて
ブランディング作業から紡ぎだしたことの2つ目は、顧客像。顧客にリアリティを持たせるため、成瀬直樹(仮名)と命名。顧客を細かく分析・設定し、「この人物が喜ぶ店」という基準で店舗作りをしていくと、統一感のある訴求性の高いお店が生まれます。今回は、大企業に勤める男性が、仕事終わりにカッコよく部下を連れて行ける店舗のイメージだったので、大企業が集まるエリアを実際に歩いてみるなど、ペルソナに合わせて立地選びは慎重に行いました。
ビジネスビジョン:総合ビアレストラン
オーナーさんは、ビアバーをやりたいという思いを持っていましたが、当初はその先の明確なビジョンはありませんでした。ですが、ブランディングを通して実現したいことが明確になり、クラフトビール専門店など最終的には8店舗、「総合ビアレストラン」まで持つという目標が見えてきました。視覚化することで、方向性を見失わず、他のスタッフとも共有しやすくなりました。
コンセプトを内装で表現する
麦芽を埋め込んだ左官壁!?
コンセプトを表現するために内装で最も拘ったのは、麦芽を使用した左官壁です。店のコンセプト「極上の樽生ビール」と、成瀬直樹(顧客像)の様な本物志向の人物が喜んでくれるお店、ということを考え、壁は土を使用し、一味違った拘りを持つ壁に仕上げることをご提案しました。そんなわがままを聞いてくれた左官職人さんと二人三脚で仕上げたのが、麦芽を埋め込んだ土壁!オーナーさんも左官塗りに挑戦した、思い出深い壁です。
最後に
Beer Switchは、南武線宿川原という比較的マイナーな駅から、徒歩3分ほどの住宅街にあります。立地に最初は心配もありました。しかし、周囲には新興マンション、周辺駅には大企業もあり、オーナーさんの狙い通りペルソナのような人物や、沢山の地元の方がやって来てくれています。従業員さんも増え、着々と次のステップへと歩みを進めています!
Beer Switchオーナーの志田さんとのインタビュー内容は、こちらからご覧いただけます。出店に伴うヒントが盛りだくさんです!